新路線Crossrailが発見した新たな歴史~1348年の黒死病の事実~

 

日立の高速列車が使用されるという、ヨーロッパ最大のプロジェクト、クロスレール(Crossrail)基幹線路工事。

 

£14.8ビリオンポンド(0が8つ並びます)のこの大規模な工事計画は、ロンドンを通り抜け118km、37駅をつなぎ、2018年に開通予定。

 

この大規模な線路工事につきものなのが遺跡発見。例外なく、いくつか時代の違う人骨、銅器時代のルートが発見されている。

しかし、先月2014年3月に発見された25体のスケルトン人骨は、660年の歴史のミステリーが解明される大きな発見。

 

 

1347~51年、ヨーロッパ全土で数百万人が亡くなったといわれる黒死病。イギリスには、1348年ヨーロッパから入り、当時の人口の60%を死に追いやったというから、そのすさまじさが想像できます。

 

 

【DNA鑑定結果】

この25体の人骨がDNA分析された結果、13体が男性、3体女性、2体が子供、ほか性別不明。また、12体がロンドン出身で、3体が南西イングランド出身、その他、最北スコットランドの人骨もあるそう。

 

「14世紀当時から現在と同じく、ロンドンは英国全体の人を引き付けていた様子」ということがニュースで言われていますが、そんな細かい情報までがDNAでわかってしまうことの方が、よほどの驚きです。

 

もし日本人の私が混じっていたら当然、「アジア人の人骨」になるのでしょうが、スコットランド人のDNAと、イングランド南西出身、ロンドン出身のDNAが違うということが驚きですね。

 

下が、クロスレールの線路図。左端はヒースロー空港。まだまだ、東北の上部に伸びます。

 

多数が栄養失調で、16%の人体がくる病(ビタミンD・カルシウム不足による骨の変形)が見られ、貧しく、過酷な肉体労働下にあった人たちであったこと。

 

また、1400年代の人々は、髙い確率で上半身の多数なけがが見られ、激しい口論などにおいて、暴力的であったらしいです。そうでしょう、裁判、警察など民間レベルで解決手段がなかったでしょうから、解決方は殴って、「おまえやれ」と力関係しかない。いやな時代ですね、現代に生まれてよかった。

 

【歴史的発見】

そして、これが歴史を変える事実。(の一つ)

その歯のDNA分析によると、黒死病は、「ペスト菌がネズミなどにより、人へ感染していた」と学校の教科書でも教えていただ事実が、実は「人のくしゃみなどで、人から人へ感染していた感染症」だった事実が発見されました。

 

発見された菌の種類からわかったのかしら。

いままで、600年の間(?)、子供たちは「14世紀、ネズミにより黒死病が蔓延し」と教えられていたことが、2014年の科学的な分析により事実が発見され、これから教科書が変わるのです。すごいわ~。

 

また、もう一つの歴史的発見は、いままで葬られた人たちの場所が不明だったらしいですが、この発見で、FarrindonにあるCharterhouse Square下に葬られた事実がわかったことも、歴史上の発見らしくロンドンの専門家の方たちは興奮しています。

【クロスレールの考古学チームのリーダー】

クロスレール(Crossrail)の考古学者、Mr. Jay Carver ジェイ・カーヴァーさん

(列車の会社が、考古学者の専門家を雇用しているんですね。おどろき)

 

「この25体の発掘により、1400年代のロンドナーの生活は容易ではなかった事があきらか。貧しい食生活、全体的に苦しい生活環境下にあったことは、彼らがペスト菌に感染しやすかった、そのことが、なぜ黒死病が、あれほど人々に破壊的だったか説明がつきます。」と語っている。