映画Bellの主人公、ダイドー・エリザベス・ベルが、法廷裁判官だったマンスフィールド伯爵と住んだお家、Kenwood House.
(歴史背景を知りたい方はこちらから)
第1代伯爵マンスイールドが、1776年、当時有名な建築家Robert Adamに依頼した豪華な館。
1910年、6代目マンスフィールド伯爵が遺産相続税の事情で手離し、ギネスビールの創業者エドワード・セシル・ギネス=アイビー伯爵が購入した。
現在見ることができる第一級の絵画のコレクションは、このアイビー伯爵の所有、インテリアコレクション。レンブラントの自画像、フェルメールの「ギターを弾く少女」が有名。
現在はイングリシュヘリテージ(イギリス遺産)が管理するこの豪華な建物は、1年半の閉鎖の後、2013年に再オープンした。再修復されたその内装は、1776年ダイドー・ベルや、マンスフィールド伯爵たちが見ていた内装に忠実に戻されたそのグレートルーム図書館は見事。
入り口から入った様子をご紹介しますね。
まず、ケンウッドハウスには、離れた2つの入口がある。
パーキング(無料)がある方から入ると、このような緑に包まれた散策コースが待っている。
右に折れると、マンスフィールド伯爵夫人が友人の女性と動物(牛やヤギ)を飼っていたデイリーハウスがある。
1700年代の富裕層の女性たちに流行った「農家遊び」。飼っていた動物の乳搾りやチーズやバター作りなどを楽しんだその館が、2013年修復され公開された。残念ながらこのお家は、行ったこの日は閉まっていた。
しかし家につながるゲートは自分でロックを開け閉めしてはいる、出る時にはまた閉める。閉まっているから入ってはいけないわけではない。ヒースへつながるゲートも皆きちんと閉めているから感心するわ~。
ハムステッドヒースという森のような公園の高台にあるこのデイリーハウスからの景色を望む、感心する。ロンドンは首都の都会であり、また田舎が共存する街だから、住むことをやめられない。
近所に住むたくさんの人が、週末は犬を連れて散歩の光景。イギリス人も、犬も散歩が大好き。誰も犬を鎖でつないでません。イギリスの犬は幸せだとおもいます。
草原を自由に走ることができない日本の犬がたまにかわいそうになるけれど、キチンと躾がされているイギリスの犬ならではかも。
樹齢200年はある、直径1.5mくらいの樹。おおきい〜。
入口から散策すること(寄り道して)15分、目的の館ケンウッドハウスが見えてきました。もう紅葉が始まって落ち葉が美しい。
並木道になり、ベンチからは景色を眺めることだできる素敵な散歩道が、館へ導きます。
高台のハムステッドヒースに建つ、白亜の建物の裏手。巨大でいかにも「伯爵の家」。この芝生の敷地で「ノッティングヒルの恋人」が撮影された。
建物に入るには、ぐるっとまわって正面へ。
これが建物の入り口。豪華なファサード。
入場無料です。しかし、本を買って寄付しましょう。
建物の右手奥、これが念入りな時間をかけて修復されたグレートルーム。
建築家の名前ローバト・アダムを取って「アダムの図書館」とも呼ばれている。
アダムの図書館と呼ばれる書斎の中。
この1700年代はウエッジウッドが人気を博した時代。日本や中国の、東洋の陶磁器が流行った時代でもあり、その色使いが建築にも色濃く影響を与えています。
これが、ウィリアム・マレー(Willian Murrey)=マンスフィールド伯爵の肖像画。
実はこの絵は複製品で、本物はオックスフォード大学のハリーポッターで有名な食堂のグレイトホールに展示されています。
彼は、司法裁判官であり、当時一番の権力を持っていた裁判官だったそう。
奴隷解放の礎とも言える「逃走した奴隷の主人に、その奴隷の所有権はない。黒人でもいかなる苦痛をうけるべきでない。」との世紀の判決を下した。その後イギリス中の数万人の奴隷が解放された。
子供がいなかった彼は、亡くなった妹の子供(姪)を引き取って育てていた。ダイドー・ベルは、甥っ子Sir John Linsay(サー・ジョン・リンジー)が1764年頃、このマンスフィールド伯爵へ預け、育てられた。
1700年代の木製ステップ。ぴかぴかで新品に見える。昇らないように棘とげのある実が置いてある。
鏡に反射させて、窓の景色がどこからでも見えるようにデザインされているらしい。
これが有名なフェルメールの「ギターを弾く少女」。
実物は、えっ、と思うくらい小さい。
これが買われた1800年代後半、まだフェルメールは名が知れず、前述のゲンズバラー、レイノルズの10分の1の値段で購入されたらしい。
その数週間後に、オークションで値段が急高騰したそう。
暗めの部屋がピントが合わずピンボケとなり残念。
1800年代人気の画家ゲンズバラー(Gainsborough)や、レイノールズ(Reynolds)の描く貴婦人たちの絵画がみごとなミュージックルーム。シャンデリアが豪華。
3代目マンスフィールドの時代に増設された部屋。
ミュージックルームのファサードルーム。
このカーペットは、エリザベスや、ダイドーベルなど、1700年代の女性たちによって選ばれたのでばないかと推測されている。
(被写体がやや残念。彼が動くまで待てませんでした・・。)
2階のコレクションは、ギネス=アイビー伯爵の1600年~1700年代の王室のメンバーのコレクション。
個人のコレクションで、チャールズ一世、2世、その妃、愛人など当時の歴史上の人物の原画を持ち、それをそのまま国へ寄付した事がなんと太っ腹。現代では考えられない。
観覧の後は相当疲れます。正面入り口から出て、裏に戻ります。
裏手には素敵なガーデンカフェが。
木々に囲まれたカフェは、まるで森の中で食事をしているよう。森林浴は何といい気持ち。
さて、休憩の後はどうやって帰るか。公共交通機関は不便なのだ。
このお家に住んでいたBellとハンスフィールド伯爵の歴史の背景を知りたい方は、以下リンクから読めます。