British Library大英図書館に、ほぼ15年振りに足を運んできました。
1998年に開館したこの大英図書館、なぜ10年以上も足を運ばなかったというと、この図書館の本を利用するには、「大学生」または「研究者」である必要があり、そのメンバーにはなれないのです。2000年当時、英語学校の学生だった私は落胆の後、訪れることもなかったのでした。
しかし、近年、ミュージアムギャラリーとやら常設・特別展(有料・無料)を一般向けに開催しています。(2000年の当時、常設展が一般公開していたかどうか今となっては知る由もないですが)
この図書館に入ると、まず嫌でも目に入るのが King's Library Tower王の図書タワーと呼ばれる巨大な本の棚です。
6階に及ぶ高さのガラスケースに収められたこれらは、ジョージ3世(1760-1820)のコレクションだった本たち。
85000冊に及ぶこの蔵書は、王の死後、息子のジョージ4世により国に寄贈され、当時の「大英博物館」のコレクションの一つとされました。
大英図書館の設立(1973年)とともに、それ以来ここへ移されたそう。(余談ですが、このジョージ3世は、後世は精神異常を患い、王位をやむなく退いています。)
このガラスケースの中の環境は、温度をはじめとして、湿度、照明に、1700年代のこの貴重な本を適切に保護する万全な環境が作られています。
今回その常設展(無料、一般公開)を見に行ったのだけど、印象的なカフェとスタディースペースに感心。
なんと16000人ものキャパシティがあるスタディスペースと、王の図書タワーの横でお茶するカフェもあり素敵。(個人的に高い天井が大好き)
このスペースとカフェはメンバーでなくても利用できます。
■Lines in the Ice: Seeking the Northwest Passage
現在の無料の特別展は、キャプテンクック率いる探検隊など、1700年代から1800年代の北極へ向かう北海航路を探す旅に出た探検隊と、その残された日記や新聞、時代背景の展示物です。
ダウンジャケットなどなく、防寒具が不十分な当時の極寒での探検隊の様子が伺えます。
(キャプテンCoock,クック船長は、3回目の航海で仲間割れ、航海の帰途上でハワイで殴打事件でなくなっています。)
■The Sir John Ritblat Gallery
そしてお勧めなのが、常設展示室The Sir John Ritblat Gallery(無料)。ここでは、ありとあらゆる世界で名立たる著名人の実物の書面が見れます。
たとえば、モーツァルトの直筆の「音楽日記」。1786年から1791年の死の目前まで日記として作曲された数々の音楽の作品。(下)作曲を日々、日記として綴っていたことが、常人でない証拠、頭から音楽があふれ出ていたことが想像できますね。
そして下は、ジョン・レノンのHelp!ができた殴り書きのメモ書き。
Help! 1965年
「ジョンレノンは、2年間の世界ツアーの後、精神的、肉体的に疲労困憊していた。ロンドンの証券マンエリアで孤独に近い状態での生活に、不安、寂しさ、混乱する状態で、文字通り、ヘルプ! と彼自身の叫び声だった。
ボブ・ディランスタイルに書かれた詩は、レコーディングの際、商業的理由でテンポを早くすることを勧められ、結果、彼の真摯な感情が表現された、美しいポップソングに仕上がっている。」
そして以下が、ポールマッカートニーの「Yesterday 1965年」の直筆。
ある朝、彼はこの曲のメロディーを頭に目が覚めたそう。当初、彼はてっきりこの歌は現存している曲と思い込んでいたが、そうでないこがわかると、「スクランブル・エッグ」という仮のタイトルで曲の完成に励んだ。そして映画 Help! の撮影中にこの歌は「Yesterday」というタイトルで完成した。
いやー、この曲は名曲です。
このほか、以下の歴史上の実物の手書きの書簡が見れます。
歴史の授業で聞いたことがあるものが、実物を見ると実際の出来事として実感を感じる、感慨深いものがあります。
・「マグナ・カルタ」
・「ダ・ヴィンチ」や「ミケランジェロ」の手描きのノート
・「シェークスピア」のファースト・フォリオ
・「ヘンデル」のメサイアなどの自筆楽譜
・ヘンリー八世から、娘であるエリザベス(後世のエリザベス一世女王)へ贈られた「お祈り帳」
・「モーツアルト」の自作楽譜とコンスタンツェとの結婚証明書
・「地下の国のアリス」の手書き原稿
※The Sir John Ritblat Galleryは、2/14-3/7の期間、改装される予定です。その間閉鎖されるので気を付けて。
■マグナカルタは、2015年3月から特別展が開催され、イギリス国内3か所に保存されている書簡が、1215年以来、史上初めて一か所に揃う特別展が見ものです。
http://www.bl.uk/magna-carta
次回のロンドン観光には、大英図書館も観光コースに入れてみるのはいかが?