ナショナルギャラリーの5日間のストライキ

現在ナショナルギャラリーの250人のスタッフは、2月7日明日まで5日間のストライキ中だ。

皆さん知ってのごとく、イギリスのほとんどの大きな博物館、美術館は無料で入場できる。これは美術館が、国営であり、イギリス人の税金から成り立っているためだ。現地人が皮肉にも言っていることが、「利用者のほとんどが外国人であるのにもかかわらず、自分たちの税金で運営されている。」


各館の至る所に、募金の箱が置かれ、5ポンドの寄付をお願いする表記がされている。その裏事情は、国の税金での支援金は、運営金の半額ほどで、彼らは、おみやげの販売、特別展の入場料で運営資金を補う必要があるよう。

 

しかし、今、その政府からの支援金(Grant)が、ますます減額され、雇用者の最低の生活を保証する賃金や、館を管理する維持費など、これ以上の自社での運営は出来ないと判断、民営化し管理を他社へ依頼することになった。

 

その「他社」が管理する範囲は、館内の管理人以外に、美術品の専門知識を必要とする美術品の管理人(学芸員)までがその対象となり、その委託会社がその専門知識をも持っているとは思えず、250人のスタッフは、自分たちの職だけならずとも、将来における美術館自体の品質、姿勢にまで疑問を持ち、大反対運動となっている。

 

美術館のスタッフが、5日間もの間ストをする話を聞いたことがありますか?

 

民営化という意味は、将来的に、美術の歴史や、美術館の管理など専門知識を大学で身に着けても、イギリス政府が運営する美術館がこのようにだんだん民営化されることになると、その専門知識を身に着けた彼らが発揮できる職をも、だんだんと失くなっていくことにもつながってしまう。

 

反面、ナショナルギャラリーのダイレクター Nicholas Penny氏は、「ナショナルギャラリーが減らされた国の支援金で、現在と同じ状態を継続して運営するには、民営化以外の選択肢はない。高騰する維持費、政府支援金の減額、スタッフの最低賃金を保証した上での、館の収入の増額は、提案された民営化は避けられない。」

「5か月にわたる話し合いには、いままででPCSユニオン(労働組合)と意見の一致は見られない。」と語っています。

 

この民営化の目的には、利潤の回復がその大きな目的となっています。

英国国営の美術館、入場無料という太っ腹に甘えず、その運営は火の車ということを理解し、国外から訪れる皆さん、お1人最低5ポンドの寄付を心がけていただくと、これから他の博物館・美術館の民営化の進行を防ぐことができるのかもしれません。

 

観光で訪れる皆さん、ご協力お願い致しますね。

 

(参考:現在国営の美術館・博物館は、大英博物館、ポートレート博物館、V&A博物館、科学サイエンス博物館、自然博物館、などなど。)



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