このお仕事をしているとお客様のリクエストにより調査、それにより勉強させられることが、改めてたくさんあります。
このイートン校もその一つ。
以前リクエストがあったものの、4年間一般公開ツアーは閉鎖していて館内は入ることができなかった。
今回、5月5日金曜午後2時、お客様のリクエストにより、イートン校4年振り再開の記念すべき第1回のツアーに参加してきました。
事前に丸1日かけて、歴史とその背景を勉強。その時に知った情報によると、2011年、イスラム原理主義者であるテログループ、アルカイダの暗殺された上層部メンバーの胸ポケットに入っていた、攻撃するターゲット一覧のリストの中に、なんとこのイートン校が入っていたそうです。
今まで19人の英国の首相を輩出した学校として、それくらい重要な学校でもあるこの学校の壁の裏は、一体どんな世界が広がっているのでしょう。
昔、古いけれど池田理代子か萩尾望都かの漫画で出てきた美少年たちが繰り広げるお話は、きっとこの黒い燕尾服の制服に身を包む、イートン校の男子校がイメージになっていることは容易に想像がつきます。(えっ?みんな知らない?)
The Eton College
この世界一有名な男子校の歴史はかなり古く、1440年にさかのぼる。
時の王、ヘンリー4世(写真)が、貧しい少年たちに「無料」で勉強できる学校として創設したのがその始まりだった。王の寄付により創設されたため、この学校は現在も広大な敷地と建物を有し、塀の中には、校舎の他にも、教会、博物館がある。
創設当時の全校生徒は70人。一学年14名の学生たちは、宿を与えられ全てが無料でイートン校で勉強ができた。
現在のカレッジは、生徒の数は1320人、Houseと呼ばれる寄宿舎は25軒、年間の学費は約35,000ポンド(約525万円)に登る。
さて、ツアーのスタート。入り口のセキュリティーはかなり厳重。
2人の警官と警察犬からバッグチェックと匂いを嗅がれ、受付を済ますと(青空オフィス、雨が降ったらどうすんだろう?)、このブルーのペンダントを下げた英語ガイドの方について中に入ります。
どこかで見たことがある建築。
中世の時代は、どれもこんな感じだったのかしら?と思っていたら、やっぱり。
ハンプトンコート宮殿と同じ建築家が作ったそうです。
数々の生徒が掘った「木彫り模様」でかなりすり減り原型から変わっている柱。こんなに細くなっていて大丈夫なのかしら?と心配になる。
長〜いデスクは、机の表面半分が蓋(フタ)となり、上げることができる。むか〜し、そういえば木製の机を使っていた記憶が戻る。今考えたら同じ原理で、しかしこの左右の長さは、おそらく生徒が15人くらい並んで座ることができる。
蓋をあげないとベンチから立ち上がれないので、連携プレーが必要になる。
今でもこの教室は使われているらしい。
そして次は、Museum of Eton Lifeという博物館。
左が19世紀のHouse寄宿舎の様子を再現。右が現代だそうです。かなり違いますね。一部屋に3人にいた部屋は、現在は、全て個室のベッドとデスクが付く部屋に変わっています。
そういえば、トップの写真の少年は、ここで会うことができます。
ここでは、制服の歴史や帽子のお話、校舎の建築模型などが展示。
1960年代まで、身長が160cm以下だとウエスト丈の短いジャケットの制服を着る必要があったようで、これをBum-freezerと呼んでいたんですって。(お尻が丸出しになって凍えるかららしい)
この可愛いカラフルな帽子。色分けされ、それぞれ生徒の違いを分けるために使われたんだそうです。
なんの意味だったと思いますか? (回答は、直接私にお会いした時にお尋ねくださいね。笑)
ところで、以前に行った人のレビューをネット読んで、どんなものか見てみたかった体罰のむち打ち用の柱が展示されていたらしいですが、外されたのかありませんでした。
先生と、「優秀な生徒」として特別な地位にあるグループの生徒は、他の生徒にむち打ちの罰を与えることが特権として許されていた時代があったそうで(きっと奴隷が売買されていた時代ね)、かなり無秩序が横行していた頃もあったようです。
現在は、このムチ打ちの体罰は無くなったそうで安心しました。
結構えげつない逸話がたくさん残されています。
出口に出る前に、英語ツアーの女性とパチリ。
後ろは、オフィスの入り口を覆うように咲くバラのひさし。小さいバラの群生が美しい。珍しいバラが咲いていました。
最後はお客様の平野さんが、私の写真も撮ってくれました。ありがとうございました!
●追記 学校の校舎内のツアーに入るとスーツを着たスパイ風の方が後ろからついて来て、かなり気になっていました。校舎外に出ると彼はスーッと建物の奥に消えて行ったのです。
参加メンバーも気になっていたようで、ガイド女性に聞くと、Head of Security警備のボスだったそうです。
警備がいかに厳重がわかりますね。
よって、偶然にも生徒が走っている姿を拝むことができると思っている方、残念ながらそれはまず有り得ないので、がっかりしないでね。
平野様、ご利用後記
ウィンザー城とイートン校ツアーの案内をして頂いた、平野です。先日はいろいろとありがとうございました。
ウィンザー城では英国王室の歴史や日本との関わりを教えて頂き、特にひとりで周るときはあまり興味のない(誰だかわからない)肖像画なども、その人物の人柄や功績と一緒にわかりやすく教えて頂いたことで昔のイギリスの王室や歴史に興味が湧きました。
憧れだったイートン校ツアーでは通訳の解説をありがとうございました。紳士的なお坊ちゃまスクールのイメージが強かったのですが、意外とやんちゃな面のお話も多かったですね。笑
ロンドンからの行きの電車移動の時にイートン校の情報を教えて頂いていたので「これが!」と思える部分( KSのサインなど)もあり、英語が分からなくても楽しめる部分が出来て良かったです。
イギリスの歴史背景にも詳しくない私ひとりではとても理解できなかったので、山城様にお願いして本当に良かったです。おかげさまでとても充実した楽しい1日となりました。 2017年5月 平野さま(鹿児島県出水市)